どんなに歯磨きを頑張ってもしょっちゅう虫歯になってしまう人がいる一方で、歯ブラシを口に突っ込んでいるだけなのに、ほとんど虫歯にならないような人もいます。
虫歯の原因は一つではなく、虫歯菌の数、唾液の性質と量、歯並びなど複数の要素が重なり合っています。
これら虫歯の原因は遺伝するものもあれば、そうでないものもあり、また体質だけの問題でもありません。
今回は虫歯になりやすい人となりにくい人の差と、それが遺伝するのかについて記事にします。
口内細菌の縄張り争いは3歳までに決まる
私達の口の中には300種類以上の細菌が住んでいると言われていますが、その全てが害のある菌というわけではありません。
有害な菌は一部で、その代表が虫歯の原因となるミュータンス菌です。
ミュータンス菌は、食べ物に含まれる糖分を栄養に酸を出します。
ミュータンス菌が出した酸で歯が溶けた状態が虫歯です。
生まれたての赤ちゃんの口の中にはミュータンス菌はおらず、周囲の大人達を介してミュータンス菌は移ります。
ミュータンス菌を含む口内細菌の縄張り争いは3歳までに決まるとされており、親や周りの大人が口移しなどをしてミュータンス菌を移さないよう注意しなければなりません。
適切なプラークコントロール
ミュータンス菌は糖質を材料にして歯を溶かす酸を出すので、食後は速やかに歯を磨き、糖分を取り除く必要があります。
砂糖たっぷりの甘いお菓子が好きだったり、間食が多かったりすると、それだけミュータンス菌のエサが多くなりますので虫歯リスクが上がります。
また、歯ブラシでのブラッシングだけでは歯垢の6割ほどしか落とせず、デンタルフロスを使わなければプラークコントロールは不十分です。
虫歯の頻発部位は歯と歯の間の隣接面で、ここは歯ブラシの毛が届かないところですのでフロスを使いましょう。
唾液の質と量が再石灰化の鍵
ミュータンス菌により歯が溶け出すことを脱灰といいますが、脱灰した歯は唾液により再び強化されます(再石灰化)。
私たちの口の中では脱灰と再石灰化が繰り返されており、このバランスが崩れると虫歯になってしまいます。
ダラダラと一日に何度も間食していたりすると、再石灰化が脱灰に追いつかず、虫歯になりやすくなります。
唾液にはリン酸とカルシウムが含まれており、これが再石灰化の鍵になりますが、再石灰化しやすい唾液の性質は遺伝によると考えられています。
虫歯と歯並びの関係
唾液の性質以外にも、遺伝により虫歯のなりやすさを決める要素に歯並びがあります。
歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくかったり、フロスが通らなかったりでプラークコントロールが難しくなります。
歯並びの悪さが虫歯の直接の原因になるわけではありませんが、磨き残しという間接的理由で虫歯の原因になってしまいます。
まとめ
以上のように、虫歯の原因で遺伝するものとしては主に唾液の質や歯並びが挙げられます。
しかし、歯磨きとフロスの習慣や間食を減らすことは後天的に身に着けることができるものです。
その意味で、虫歯になりやすいか否かは必ずしも遺伝するものではなく、自らの努力で虫歯になりにくい生活習慣を送ることが大切です。